航空身体検査

【パイロット】航空身体検査 概要編

こんにちは!エアラインラボ編集部です!
この度、AirlineLab公式HPを立ち上げましたので、どうぞ宜しくお願いします。

 

エアラインラボには、大手航空会社自社養成パイロットの内定者や現役航空大生も在籍しておりますので、彼らの知見を集結させ、信憑性のある情報を発信していこうと考えております。

 

今回は身体検査 概要編についてご紹介します。
我々は医学的知見を有しておりませんので、個人またはエアラインラボの見解として参考にしていただければと思います。

眼科

視力

遠・中・近距離別にランドル環による検査です。
遠距離視力のランドル環は4方向だけですが、中・近距離視力は斜めも含まれます。

各社自社養成及び航空大学校の基準は以下の通りです。

ANA、ANAウイングス

・各眼の矯正視力が0.7以上であること。(裸眼視力の条件はありません)
・各眼0.7、両眼1.0以上の視力に矯正できるレンズの屈折度が±8ジオプトリーを超えないこと(オルソケラトロジーを受けていないこと)。
(出典元:https://www.ana.co.jp/group/recruit/ana-recruit/newgrads/pilot/employment.html
(出典元:http://www.anawings.co.jp/recruit/entry/pilot/index.html

JAL

・各眼の矯正視力が1.0以上であること(裸眼視力の条件はありません)。
・各眼の屈折度が-6.0~+2.0ジオプトリー内であること(オルソケラトロジーを6ケ月以内に受けていないこと)。
(出典元:http://www.job-jal.com/recruit/requirement/new-graduate04.html

Peach

・各眼の矯正視力が0.7以上であること。(裸眼視力の条件はありません。)
・各眼0.7、両眼1.0以上の視力に矯正できるレンズの屈折度がジオプトリ―-5.5~+4.5を超えないこと。(オルソケラトロジーによる矯正を行っていないこと。
(出典元:http://www.job-jal.com/recruit/requirement/new-graduate04.html

視野

半球状の白いスクリーンの中央に頭を据えて検査を受けます。(検査機器:ゴールドマン視野計)

検査中はあらゆる角度から光点が流星のように出てきますので、見えた瞬間、手元にあるスイッチボタンを押します。
なお検査中は「固視点」から目線を移動しないよう気をつけること。
(固視点から目線をズラしたら検査医が逐次注意してきます笑)

基準は暗転(見えない箇所)、半盲(視野の右半分あるいは左半分が見えない、狭窄(視野が狭まる箇所)がないこと。

(出典元:http://www.nakamura-ganka.com/ganka_kensa/1085

深視力

2本の黒い線の間をもう1本の黒い線が近づいたり、遠ざかったりしているのを3mくらい先から見て、3本が1列に並んだ時に「はい!」と声をあげる形式の検査です。

基準は±20mm以下
上記の基準値を超えた場合、当日再検査、もしくはアウトです。

(出典元:http://kyobundo.net/shinnshiryoku/

(出典元:https://youtu.be/EMNs3qTmksk

 両眼視機能

  •  寄り目検査
    検査医が対象物を受験者の近距離(目の前)〜中距離(約30cm)に移動して、
    両眼の動き(寄り目が出来るかどうか)を確認する検査です。

 

  • 眼位検査
    片眼を隠し、片眼にプリズムを当てられ、眼球の動き(眼位)を測定する検査です。内・外斜位の基準値は6ΔD以内(予想)
    (検査項目に上斜位もありますが、明確な基準値は分かりません)

(出典元:https://www.ohs.ac.jp/guide/facility.html

  • チトマスステレオ検査
    平面に描かれた模様を立体的にモノが見えているかを測定する検査です。
    偏光レンズをかけて、視標が浮き上がって見えるモノを選択します。

出典元:http://www.smile-eye.com/faq/4_17.htm

 

  • 大型弱視鏡(シノプトフォア)検査
    両眼でそれぞれ見た像を脳の中で1つに重ねて、視線のズレの角度を測定する検査
    です。下の写真(右上)の場合、4匹のポケモンの内、どのポケモンが手前側?奥側?のどちらかにいるのかを回答します。(写真からでは分からないですが、検査機器を通してみると各々のポケモンが手前側または遠くにいるのか判別出来ます)
    *なお本検査は再検査になった場合にのみ、受ける可能性があります。

(出典元:http://www.smile-eye.com/faq/4_17.htm

色覚検査

  •  石原式色覚検査
    カラフルな水玉模様の中に数字が隠れているので、それを読みます。下の写真の場合、上の段から左→右に見ていくと、
    12,6,42,74
    25,6,8,6
    56,29,45,5と読めるはずです。

(出典元:https://rakutenoyaji.com/?p=3355

  • アノマロスコープ検査
    顕微鏡みたいな覗き穴を覗くと、直径2〜3cmの円が見えます。
    上下で色が分かれており、どちらかの色が徐々に変化していき、2つ同じ色になったら教えてくださいという検査です。

(出典元:https://www.tsukazaki-hp.jp/care/ophthalmology/achromatopsia

眼圧検査

眼に空気を吹き付けて検査します。
基準は22mmHg以上です。(予想)

散瞳検査

瞳を大きく広げる目薬をつけ、眼底を検査します。
散瞳直後に眼球の写真撮影し、30〜40分後に問診を受けます。
過去に野球やテニス等で球が眼に直撃して怪我した、喧嘩で眼を殴打された等がなければ、問題ありません。

脳波

約15〜20分間、暗室の中で仰向きになって検査を受けます。(検査前にグリースのようなものを頭に塗られます)
状態別に脳から発する「波」を見て、脳の働き具合を検査します。

基準は安静時に目を開いているとβ波が、目を閉じているとα波が出て、熟睡時にδ波が出ていること。

(出典元:https://ship-kokeshi.com/2018-11-2/

耳鼻科

平衡機能

  • 遮眼書字検査
    アイマスクを付けて文字を書く。(例えばアイウエオ)
    もし問題(字が極端にズレている、紙からはみ出す等)があれば、その場ですぐやり直しがあります。(2回目以降は赤ペン)
    3回目までチャンスをもらえますが、それでもダメな場合、アウトです。

(出典元:http://www.3443.or.jp/tsushin/t1603/05.htm

 

  • 直立検査(マンテスト)
    アイマスクを付けて、右足が前、左足を後ろにし、つま先と踵を合わせ、両腕は下に降ろした状態で30秒静止する。
    基準は、著明な動揺又は転倒がないこと。(何回かチャンスは貰えるはずです)

(出典元:http://www.mogami-ent.jp/category/for_medical/dizziness_inspection.html

 

  • 足踏み検査
    アイマスクを付けて、両腕を伸ばしたまま状態で50歩足踏みする。
    基準は90度以上の回転、1m以上の移行距離又は著しい動揺がないこと。(何回かチャンスは貰えるはず)

(出典元:http://www.mogami-ent.jp/category/for_medical/dizziness_inspection.html

 

  • 直線歩行検査
    アイマスクを付けて、約6m歩く。
    基準は1m以上左右へズレないこと。(何回かチャンスは貰えるはず)

眼振検査

VRのようなアイマスクを付けた状態で頭をぐるぐると回され後、眼の動き見られます。基準は頭を回された後、検査医が指示する方向に眼を動かせること。

聴力検査

防音室のような部屋に入り、片耳ずつ周波数別(500、1000及び2000Hz)に音を聞き、聞こえたら手元にあるスイッチボタンを押します。

基準は35dBを超える聴力低下がないこと、3000Hzの周波数において50dBを超える聴力低下がないこと。

内科

身長、体重

各社自社養成(ANA、ANAウイングス、JAL、Peach、スカイマーク)では身長の規定はありませんが、航大では158cm以上が条件です。
(出典元:http://www.kouku-dai.ac.jp/02_enter/05.html

心電図

手首、足首、胸に電極を付け、心臓の収縮時に発生する電気を波形として記録し、
主に不整脈(心臓のリズムが一定にならない)の有無を診断されます。

負荷心電図

心拍数が高い状態(例えば階段3段昇降した後)で当該検査を受ける。
スポーツ心臓をお持ちの方は中々心拍数が上がりづらいので、何回もやる可能性があります。

採血、尿検査

血液の検査項目は多数ありますが、以下、主な検査項目の基準です。(予測)
身体検査時には各項目の示す基準値の間ぐらいにするのが理想です。

  • 総コレステロール:120〜200mg/dl
  • 中性脂肪:35〜149mg/dl
  • 尿酸:男性 3.4〜7.0mg/dl、女性 2.4〜7.0mg/dl
  • クレアチニン:男性 0.61〜1.08mg/dl、女性 0.45〜0.82mg/dl
  • γ-GTP:男性 0〜70U/l、女性 0〜35U/l
  • IgE:−(※)

※:IgEが高値の場合、副鼻腔炎の可能性があります。且つ耳鼻科の問診で、検査医が副鼻腔炎の可能性ありと判断した場合、鼻部のレントゲンを取る可能性があります。

血圧

座位、臥位、立位で血圧を測定します。
以下、基準値(収縮期血圧/拡張期血圧)です。(予想)

  • 座位:約100〜130/約60〜80mmgHg
  • 臥位:約100〜130/約60〜80mmgHg
  • 立位:約100〜130/約60〜80mmgHg

握力測定

明確な基準は分かりませんが、左右共に35kg以上あれば問題ありません。(予想)

レントゲン

通常は胸部のみですが、副鼻腔炎の疑いが持たれた方は鼻部もあります。

問診

問診票を見ながら口頭で既往歴や手術歴を問診後、胸や腹の音を検査されます。

精神科

個室にて1対1で、家族構成、親戚に精神病患者がいるか、大怪我をしたことがあるか、不思議な体験をしたことがあるか、自分の性格や犯罪薬物歴等を聞かれます。